こんにちは。管理人のくそねみです。化学プラントは日常生活に不可欠な製品を支える一方で、ひとたび事故が起これば甚大な被害をもたらす可能性があります。
今回の記事では、「世界三大化学事故」と呼ばれる3件の重大事故について紹介し、それぞれから学ぶべき教訓を整理します。
①フリックスボローの事故
事故概要:反応器間を繋いでいた仮設配管が破断し、シクロヘキサンが大量漏洩が発生。 形成された蒸気雲に着火し爆発した
発生日:1974年6月1日
場所:イギリス フリックスボロー
被害:死者28人、負傷者142人、多数の家屋への被害が発生した
事故原因:漏洩が発生した反応器を取り外し、その間を仮設のエキスパンションベローズで接続した。プラントを再度立ち上げた際、トラブルにより通常より反応器の圧力が高くなった。その圧力によりベローズに曲げ応力が発生し、ベローズはせん断破壊された。仮設配管の取り付けにあたり、機械的な強度計算は行われていなかった。
教訓:変更管理、4M変更においては各専門家や様々な視点からのレビューが重要である
②セベソの事故
事故概要:除草剤の製造プロセスにおいて、暴走反応によりダイオキシンが生成、破裂版が作動してダイオキシンが漏洩・拡散した
発生日:1976年7月10日
場所:イタリア セベソ
被害:直接的な死者はいないが、22万人がダイオキシンに暴露した
事故原因:反応後に溶媒を蒸留で回収し、最後に水を注入し冷却する、という手順が守られずに設計より高温で反応が行われた。さらに蒸留後の注水が起こなわれなかったことで通常とは異なる組成のまま高温で放置された。その結果反応が暴走し、破裂版からダイオキシンが拡散した。また、発災後に避難対応などの適切な対応が行われず被害が拡大した。
教訓:化学品による重大事故に関する委員会指令(セベソ指令)と有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関する条約(バーゼル条約)の制定につながった
③ボパールの事故
事故概要:イソシアン酸メチル(MIC)を保管していたタンクの内圧が上昇し、作動した安全弁からMICが漏洩拡散した
発生日:1984年12月2日
場所:インド ボパール
被害:3000人以上の死者、35万人の被災者が発生した
事故原因:MICは水と反応して分解する。タンクに保管されていたMICになんらかの原因で水が混入し、発熱分解によりタンク温度が上昇した。冷凍機、アルカリによる除害塔、フレアスタックという3つの安全設備があったが、全て停止しており作動していなかった。また、発災後に漏洩した物質の情報共有をするなどの対応も行われず、被害が拡大した。
教訓:赤字の場合でも安全に関する投資、教育は必要である
終わりに
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参考文献
失敗知識データベース:https://www.shippai.org/fkd/cf/CB0058048.html
上原陽一 セベソ事故の原因 安全工学 26, 6, 1987
失敗知識データベース:https://www.shippai.org/fkd/cf/CC0300002.html
三宅敏之 ボパール事故 安全工学 26, 6, 1987
失敗知識データベース:https://www.shippai.org/fkd/cf/CC0300003.html
西川康二 世界三大化学事故を思い起す年 安全工学 53, 3, 2014