化学プラントの安全を考えるにあたって、リスクとハザードを理解することは重要となります。

本記事では、2つの用語の違いについて解説したいと思います。

【ハザード】

ハザードは危険源、危険性、有害性と定義されます。

危険源とは例えば硫酸の持つ腐食性、トルエンのような有機溶剤が持つ可燃性など、

化学物質がもつ、人に与えうる有害な影響の総称のことを指します。

【リスク】

リスクは「発生確率と影響度の組み合わせ(積や掛け算とするものもある)」であったり、

国際規格のISO31000では「目的に対する不確かさの影響」といくつかの定義があります。

ISOの定義はプラスマイナス両方の影響を考えるものですが、

安全分野においては負の影響を考えるのが主なため、発生確率と影響度の組み合わせが用いられることが多いです。

以下でよく用いられる例を使って解説したいと思います。

そこに1匹のライオンがいたとしましょう。ライオンは噛みついて人を殺傷するというハザードを有しています。

しかし、ハザードを有していますが、周囲に人がいなければ噛みつかれる可能性はありません。

一方で、近くに人がいることで、ライオンは人に噛みつくかもしれないし、噛みつかないかもしれません。

また、噛みつかれたりした場合でも、かすり傷から死亡に至るまで、結果にはひどさの程度が存在します。

ここでは発生確率=ライオンが噛みつく可能性、影響度=怪我の度合い、となります。

また、発生確率を下げる例としては、檻の中にライオンがいる状態を考えてみましょう。

ライオンが檻の中にいた場合は、ライオンが噛みつくという固有のハザードは変わりませんが、

ライオンに噛みつかれる可能性は相当小さくなることが理解できると思います。

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上記の例えをマトリクスにまとめると下記のようになります。この図をリスクマトリクスと言います。

図の中で、左上に行くほどリスクは大きく、右下に行くにつれてリスクは小さいと判断されます。

この結果を基に、リスクの大きいものから対策を実施していくことになります。

以上で本解説を終わります。

ご覧いただきありがとうございました。